ゴスペルをある程度の人数で歌う場合、もちろん技術的な歌い方も大切ですが、その前に一番大切なのは、そのグループ全体が、一つの声として聞こえている、ということです。ここをおそろかにしてはいけません。

複数の人数が、みんなばらばらで、声が突き出てしまう人が何人かいる、というのは、なんともサウンドしづらい状態なのです。

これを、突き出ている人たちを個別に特定して、「もう少し小さくして」という事も可能ですが、そのように「重箱の隅をつつくような」やり方ですと、今度は歌っている側が、どんどん萎縮してしまう・・・という残念な結果になってしまうかもしれません。。

でも、この問題は特に、自主で練習を重ねているグループには切実な問題だと思います。

こんな時、どのように練習をしたら良いのか、そのポイントをまとめてみましょう。

 

クワイヤの各パートで、まずサウンドを作りましょう

私がよく、練習の時に使う方法があります。

メンバーで輪になって歌う、という方法です。お互いの顔も見れますし、声もお互い聞きやすくなりますね。

全体でいきなり、というと、大変になってしまうので、まずはパートごとに、ソプラノ、アルト、テナーそれぞれで輪になって歌ってみましょう。このときは全体で合わせる必要がありません、その各パートで合わせればOKです。

私の指導する際には、これを全てのグループが同じ空間で同時進行で行ってしまいますが、これはかなり大変です。

もし場所的に余裕があれば、互いの声がじゃましないように、別の部屋、もしくは少し離れた場所へそれぞれ移動する方がいいですね。

あるいはパート練習のための日を別に設けてもいいかもしれません。

そのパートメンバーで歌う時に、輪になって、まず、みんなの声をその輪の中心に集めるように個々人が意識してみて下さい。互いの声が、折り重なっている状態をイメージすると、よりわかりやすいと思います。

そのとき、互いの声をしっかり聞くよう意識して、自分の声が周りにブレンドするように歌ってみましょう。これは声を小さく、という意味ではありません、周りにうまく混ざるように意識すると、自然と歌い方も変わってくるはずです。

 

次に、全体で一つの輪を作って歌ってみる

パートごとに声が一つに固まってきたら、今度は全体で同じように作っていきます。

余裕があれば、全体で輪になりましょう。余裕がなければ、2〜3列になって半円になってもいいですね。とにかくお互いの声が聞こえる体制を作ります。

そしてその声を、全体で1箇所に集めるようにして歌ってみて下さい。大きな輪なら、輪の中心、半円ならば、半円の中心です。

半円ですと、例えばコンサートの時など、舞台で歌う場合でもこのやり方で歌えますね。

今度は、お互いの別のパート同士で、同じように声を混ぜるようにして歌ってみます。どこかのパートが突出して大きな場合は、こうして歌うとすぐにわかります。

また自分のパートを歌っていながら他のパートが聞こえない場合は、パートの数を減らしてみましょう。聞こえないパートと自分たちのパートの二声で、まず合わせてみる、そして互いに聞こえるようになってきたら全体を合わせて、もう一度確認するといいでしょう。

 

メンバーの誰かが、音頭を取って行きましょう

このような、自主的な練習ですと、パートごとになった時に、みんな、誰かが声をかけてくれるのを待ってしまいがちですね。そうなると、ずっと待ったままになってしまえば、例えば限られた時間であれば、大変な時間的ロスになってしまいます。

ここではぜひ、誰か慣れている人、音頭を取ることが得意な方が率先して声をかけてください。また、パートリーダーがいれば、リーダーの方がどんどんメンバーを引っ張っていきましょう。

パートごとの連帯が強まれば、クワイや全体の力量がどんどん底上げされていきますよ!

 

サウンドが一つになった時に、互いの心の距離が縮まります

こうして全体が一致すると、言葉も自然に一致します。大人数が全体で一つの声、一つの言葉となっていくと、心に余裕が出てきて、その曲の歌詞の意味もどんどん明確になっていきます。そうなると、歌っている言葉の重みが違ってきますね。

歌詞の意味を、歌を通して、メロディーを通して、全体が共有していることになります。

そうなれば、声だけでなく、歌っているその気持まで一つになっていくでしょう。そうなると、その歌声の響きはどれだけ深みを増すか・・それは計り知れませんね。

こうなった時に、メッセージがメッセージなだけに、ゴスペルの歌というのは大きな大きな力を持つようになるんですね。