発声に重点を置いてレッスンするときには、たいがいメロウな、ゆったりとした曲を使うことが多いのですが、

時にはテンポの早い、また言葉数も多く、忙しい歌を歌うこともありますよね。そういう曲は、正直、発声の細かいことを意識して歌っている余裕はありません。

(はい、私も同じく、です。。)

テンポの早い曲、言葉数の多い曲は、歌えたらかっこいいですが、やはり、けっこう難しいものですよね。どうしても曲についていこうとして、焦ってしまい、安定性に欠ける歌になりがちです。しかし、ちょっと視点を変えて曲を捉えると、そういった焦った感を感じなくとも、スムーズに歌うことができるようになります。

まず、からだがしっかりとその曲のテンポを刻むことができていれば、歌はそれに乗っかって歌うだけでいいので、歌の安定感が格段に違ってきます。またそれにともなって余裕も出てくれば、あせって歌うよりももっと声が出しやすくなるはずです。

ということで、今回は速いテンポの曲を歌うための、オススメの練習方法をご紹介します。

 

テンポの速い曲は、どうリズムを捉えるかがキー

まず、テンポの早い曲は、どうリズムをからだでとるか、が、鍵となります。

からだでリズムを感じる、という練習は以前とりあげましたので、そちらを参考にしてみて下さい。

 

自分の課題としている速い曲、まずは曲のリズムをからだで感じるように、曲に合わせてからだを動かしてみましょう。

|1,2,3,4 | 2,2,3,4 |・・・

まずは、どちらか片足でけっこうですので、つま先でタップして、リズムを確認します。

確認できたら、からだをそのリズムに合わせて左右にゆらしてみます。

左、右、左、右、
1,2,3,4

慣れるまで、この左右を続けてみて下さい。

わかりやすいように、ここでは数字を入れていますが、あまりかっちりとはリズムを捉えたくないので、数は数えなくていいです、ただ曲を聞いて、感じたままに左右にからだをゆらしてください。

それに慣れてきたら、そのテンポを倍の長さで取ってみます。

具体的には、同じテンポのまま、このようなからだの動きになります。

左、左、右、右
1,2,3,4,

このからだの動きに合わせて、からだを上下に少しバウンスさせながら、リズムをとってみて下さい。からだのバウンスでなくとも、頭を前後に少しゆらす程度でも、リズムを感じることができますね。

最初の、一拍ごとに左、右、とやっていた時よりも、忙しくなく、少しゆったりめにリズムを感じられるんじゃないでしょうか。そのテンポにからだがリラックスできるまで、この動きを続けてみて下さい。

 

リズムは縦よりも横に感じよう

からだの動きにバウンスを加えることによって、以前にも取り上げた、グルーブ感というのが感じられるようになってきます。

バウンスをからだで感じながら、左右にからだを揺らせる時に、こんな風にイメージしてみて下さい。

からだが左に行った時には、左側にからだが引っ張られている・・

ぎりぎりまで左側に引っ張られていて・・

その反動で右側に移動、右側にからだが引っ張られて、その反動で・・

また左に戻る・・みたいな感じでしょうか。。

言葉で表現すると、粘っこいリズム、とでも言いましょうか。。

リズムは決して直線じゃないし、数字では割り切れない、曲線を常に描いている、そんなカンジがするんですよね。それがグルーブ感につながるんだと思うのです。

まぁ、このリズムの感じ方も人それぞれがあると思いますので、それはご自由に感じていただきつつ、

まずは、速いテンポであればあるほど、リズムを大きくとらえていく、からだでその大きなリズムを感じながら動けるようになると、焦らなくても歌はついていくことができます。

 

からだが慣れてきたら、言葉をそのリズムに合わせる

からだがその曲のリズムを捕らえることができたら、今度はそのリズムに歌詞のリズムを乗せていく練習です。

まずは歌詞のみ、メロディーを付けず、言葉のリズムを感じながら読んでみて下さい。テンポが早すぎるならばゆっくりから始めましょう。そして先ほどやった、からだでリズムを刻みつつ、歌詞をそのリズムに合わせながら読んでいきましょう。言いにくい所はそこだけ繰り返し練習して、口が慣れるまでやってみてください。

そして、それにも慣れてきたら、最終的にメロディーを付けて歌ってみます。

歌でリズムを取ろうとせず、からだでリズムを取って、そのリズムの上に歌を乗っけるような気持ちで歌ってみて下さい。絶対に、歌の安定感が変わってきますよ。