あらためまして、このサイトに初めて訪れてくださった方のために、ゴスペルミュージックに注目して掘り下げていくシリーズを始めていきたいと思います。

まず、日本では親しまれている、アフリカン・アメリカンによるゴスペルについて少しご紹介していきたいと思います。

このサブジェクトは、深くなればなるほど、人によっていろいろな見解があると思われますので、ここではさらっと行きますね。

New Jerseyの教会にて

 

アフリカン・アメリカンが生まれた由来

アメリカに住むアフリカン・アメリカンの歴史、とゴスペルとは、実は切っても切れない縁なのです。

アメリカが、アフリカからたくさんの奴隷を買い、奴隷売買が普通に行われていた頃の話にさかのぼります。その頃、奴隷として働いていたアフリカ人の扱いは家畜同然、労働による収入もなければ、もちろん人権なんてものもありませんし、読み書きもできない状態です。

そんな中、心ある雇い主が、聖書を使って彼らに言葉を教え始めました。その中で聖書で語られている神を知ることになり、彼らの中に神への信仰が生まれます。

彼らの中にはもともと、日常生活の中でそういった出来事や苦難を歌で表し、言い伝えるという習慣がありましたので、彼らの歌の中に自然と神への叫びが生まれました。そういった歌が、ネグロ・スピリチュアルと言われるゴスペルミュージックの原型になりました。

奴隷たちの中で聖書の教えが広まり、やがて教会ができ、マーティン・ルーサー・キング牧師に代表されるように、黒人解放運動がどんどん活発になっていきました。

やがて人権を勝ち取りましたが、その大きな原動力となったのはやはり、聖書の教え、そして教会でした。また、彼らのルーツであるリズムやメロディーが教会音楽の要素と合わさって、リズミカルな、ダイナミックな賛美歌がどんどん広まっていき、今でも彼らの教会の中では音楽はとても大事な要素になっています。

アメージング・グレース

日本ではおなじみ、いえ、世界中でアメージング・グレースほど有名な賛美歌はありませんよね。日本でも、みんなが知っているゴスペル、聞かれると、いの一番にこの曲が挙げられると思います。

この曲はゴスペルミュージックの中でもかなり定番になっている曲なのです。それぐらい人種、国籍関係なく、ここまでポピュラーな曲は他にないと思います。

この曲が生まれたエピソードはあまりにも有名ですが、ご存じない方のために、簡単にご紹介したいと思います。

アメージング・グレースを作詞した、ジョン・ニュートン、この人は、先の話題でも出た、奴隷売買をして生計を立てている人でした。しかし、ある日、船での渡航途中で嵐に会い、危うく命を落としそうになりました、が、ニュートンさんはこの時神に真剣に祈ったそうです。その祈りが聞かれたのか、奇跡的に助かりました。それ以来、その自分のやっている事の重大さ、罪深さにさいなまれるようになります。

そんな中で聖書の神を知り、彼のような人でも神は赦して下さる、という事を知りました。彼は自分の人生を神に明け渡し、奴隷売買を止めて、その後偉大な説教者になりました。そんな彼の経験が元に書かれたのが、アメージング・グレースなのです。

1.
Amazing grace! How sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now am found;
Was blind, but now I see.

2.
’Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears relieved;
How precious did that grace appear
The hour I first believed.

3.
Through many dangers, toils and snares,
I have already come;
’Tis grace hath brought me safe thus far,
And grace will lead me home.

4.
When we’ve been there ten thousand years,
Bright shining as the sun,
We’ve no less days to sing God’s praise
Than when we’d first begun.

1.
驚くばかりの恵み、なんという甘美な響きであろうか
私のような悪者までもが救われるとは!
私は一度は盲目であったが、
今は見えるようになった

2.
その恵みは、私に恐れることを教え、
またその恐れからも解放してくださった
私に与えられた恵みとは、なんと貴重なことか
私が最初に、信じた時とは

3.
危険や、苦労、誘惑をたくさん経験したが、
私はすでにここまで来た、
恵みが、ここまで私を運んでくださった
そしてこれからも、天国(home)へと導いてくれるだろう

4.
一万年もの長い間(=永遠)そこにいても、
太陽のように輝いているであろう
私たちが最初に始めた時におとらず
これからも私たちは同様に、神をほめたたえよう

(日本語訳 by Ako)