前回お知らせしたとおり、クリスマスにちなんだ物語をご紹介します。

もともと英文のものを日本語に訳したのは、もちろん私で・・素人なもんで、かなり素人なりの文章になっていることをどうぞご了承下さい。・・やってみると、めっちゃ難しいもんなんですね〜。(^o^;)あはは〜

まあ、ご興味のある方は、英語の本文の方もぜひ味わって読んでみてくださいね。

元ページはこちら>> In Serch of Christmas


 

In Search of Christmas

あるクリスマスの夜に、イエスはご自分の姿を、ご自分が愛する人々の間に現しても驚かれないよう、キリストであることを姿に現さずに、この地に降りてこられた。あるモダンな街の中で現代の人たち(罪人たち)がどのように過ごしているのかをご覧になるためだった。

お祝いムードが満ち溢れている街で、イエスはある警察官に会った。彼は混雑した街の広場で懸命に交通整理しているところだった。

OurLord&Policeman-305x400  イエスは彼に近づいて尋ねた。「クリスマスの祝日の意味は何でしょうかね?」

警察官は彼を見つめ、言った。「きみ、どこから来たの?」

「ベツレヘムです」

「どこだって?」「ベツレヘム」

「は?・・まあどこだっていい。クリスマスっていうのは子どものための祝日ってことだよ。みんなにとっての祝日、みんなっていうのは誰かの子どもってことさ。」

「では、この祝日のもともとの意味は何なんでしょうね?」

 

「やれやれ。いろいろ聞いてくるけど、こっちだって忙しいんだよ。見てわかるだろう?もっと知りたけりゃチーフに聞いてくれよ!」

クリスマス!クリスマス!

どのお店も、きらびやかなクリスマスらしいディスプレイで飾られている。でも実際の所、それは何のためなのか?

イエスはあるレストランに貼られたビラに目が止まった。”クリスマスパーティー $50”とある。

綺麗に着飾った婦人や紳士たちがそのレストランに次々に入っていく。イエスは中に入ってみた。

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白のリネンでカバーされたテーブルに、赤や緑のキャンドルが灯され並べられている。氷の詰まった銀のバケツには、金のアルミ箔でネックがカバーされたシャンペンボトルが納められている。

と、ある女性が振り向いてイエスを見つけるやいなや、血相を変えてウェイターに言いつけた。「なんてこと!?物乞いをここに入れるなんて!」

若い20才ぐらいのウェイターは、あわててイエスに向かって近づき、たしなめるように強く言った。「ここで何をしてるんですか?物乞い(Begging)は外の歩道でしか許されていないんですよ?」

イエスは彼を見て思った。「もしあなたが、私が心から本当に願っているもの(Begging)を知っていたなら・・」しかし、イエスはすでに店の外に連れ出されてしまった。その後ろでは先の女性がピアノを弾きながら歌っていた。「♪Peace on earth and mercy mild.」(つちにはやすき 人にあれやと)・・ローマ兵でもここまで軽率な態度はとらないだろうに。

外では、立ち並ぶ店やマーケットの間で多くの人が賑わっていて、イエスは人々にもまれるまま、まるで川に押し流されるがごとく流れに身を任せていた。目につくのはおもちゃ、おもちゃ、またおもちゃ、またサンタクロースもいくつか目に入った。が、イエスの誕生を表す”飼い葉桶のシーン”はどこにも見当たらなかった。

いくつかの包みの束を大切そうに抱えている、夫婦らしき二人にイエスの目が止まった。彼らは人が良さそうで、見るところ中流階級の、平和を愛する人柄のように見える。どうやらクリスマスを祝うために急いでどこかへ向かっているようだ。

イエスは、見つからないようにしながら彼らの後を追った。彼らは家に入ると、階段を登って自宅のアパートメントに入った。そこではすでに人々が集まっていて、みなそれぞれにボトルを開け、ペイストリーが配られ、飲んだり食べたりしていた。

「聞いてよ」ある一人が言った。「自分の柄にもなく、夜中のミサ(Midnight Mass)に行ってきたんだ!」「ふーん」一人が答えた。特に考える様子もなく聞く、「どうだった?」「まあ、コンサートのような雰囲気はなかったけど、それでもまあまあ楽しめたよ。友達も何人かそこで見つけたし・・」

そのアパートメントには、十字架(Crucifix:キリストの像が十字架に付けられているもの)も飼い葉桶のシーンもなく、彼らのそんな無意味な会話を聞いていることにも疲れたので、イエスはそのままアパートメントを後に、ゆっくりと階段を降りていった。

そこからほどなくして、イエスはある大きな学校の公園を見つけた。そのゲートの上には「子どものためのクリスマスパーティー・10学区」という大きなサインが掲げられていた。

あぁ、子どもたち・・子どもたち!イエスはさっそく中へ入っていった。そこには何百人もの子どもたちが、それぞれにおもちゃやキャンディー、本などをもらっていた。彼らはうるさく走ったり、転げまわったりしていて、女性校長が目を光らせているその中で、先生と思われる女性がただただ慌ただしくしていた。やっぱりここでも、一つの十字架も、飼い葉桶のシーンも見られず、誰一人「イエス・キリスト」という言葉を口にすることもなかった。

イエスは孤独感を心に募らせながら、ただそこに立ち尽くしていた。彼はただの不法侵入者でしかない。思い余ってイエスは、両腕いっぱいにおもちゃを抱えた男の子に声をかけてみた。その子はなんとなく自分の幼い頃ベツレヘムにいた友達を思い起こさせた。

「きみは、そんなにたくさんのおもちゃをきみにあげた、幼子イエスを好きかい?」

男の子はイエスを見つめ、思わず考えこんで言った。「幼子・・イエス?」

「そう、彼を知ってる?」「・・知らない。」

イエスを見つけた女性校長は、まるで何か恐ろしいことでも起こっているかのように、そこに走り寄って来て、ものすごい剣幕でその男の子に言った。「この人、あなたになんて言ったの!?」

事の次第を知り、イエスが何を聞いたのか、どんな名前を男の子に伝えたのかを知って、彼女は睨みつけると腹立たしさを隠さず言い放った。「どうぞ、すみやかに出て行って下さい・・今、すぐに!」

 

イエスは再び、外を歩き出した。通り過ぎていく場所に、もはや足を踏み入れることはしなかった。ただ、こんな同じ夜の、遠い昔の同じ日に起きた、母親の腕の中にいたあのベツレヘムの夜を味わいたかったのだ。ただあてもなく、終わりのない通りを歩き続けた。街のいたるところで、数えきれないほどの場所で、彼の被造物である人たちが、その意味も知らずに、ただただ祝っているのを目にしながら。そして彼は天国へ帰るのをためらった。こんな現実を知ったら、きっと天の仲間たちを悲しませるだけだろうから。。

へとへとになりながら、イエスはある街外れの、まるで見捨てられたかのような郊外の地域にたどり着いた。と、そこで、白い建物に小さい明かりがキラキラと輝く場所に目が止まった。さっそく近づいていき、窓から中を覗いてみると、イエスご自身のイメージが描かれたものが、しかも目立つように壁に飾られてあるのが見える。さらに、シンプルだが、とても素敵にアレンジされた飼い葉桶のシーンをその部屋の角にあるのを見た時に、イエスの目は光り輝いた。それはまるで街中のたくさんの光がその目に反映されているかのように。

とその時、ドアが空いて、男の子が出てきた。その子は、ごくたまに教会に顔を見せるような子とは違っていた。その子は、暗闇で寒さに震えている、黄金の髪を持ったイエスを見て、すぐに立ち止まった。凍りつくような冷たい風が彼らを取り巻いている

「おじさん、こんなところで凍えちゃうよ。早くこの寒さから逃れないと!」

「とっても寒い・・」とイエスは答えた。

「それなら中に入って!中には暖炉に火が入っていて、とっても暖かいから」

イエスは中に入っていった。暖炉のそばでは、子どもたちが若い神父の周りに集まっていた。暖炉の火がパチパチと音を立てるたびに、部屋がより暖かく明るくなっていくようだった。その神父は、飼い葉桶に横たわっている幼子について、その永遠に変わることのない、壮大な神のご計画が隠された、幼子イエスについて子どもたちに話していた。と、イエスが部屋に入って来るのに気づいた神父は話を止めた。

「さあ入って入って!わぁ、寒かったでしょう?ぜひここで暖まって下さい」

子どもたちは率先して、イエスを暖炉の一番暖かいところに連れて行った。

「お腹は空いてますか?・・・ヨセフ、お母さんのところへ行って、何か温かい食べ物をこの人のために用意できるか聞いてきてくれますか?」

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イエスは、そこにいる子どもたち一人ひとりを、その顔の一つ一つを覚えるようにゆっくりと見回し、そしてこの若い神父を見つめた。

神父は言った、「友よ、あなたはひとりぼっちなのですか?」

「そうです」

心うずかせる好奇心に駆られつつ、その見知らぬ人に、全ての者が注目した、そして・・待った。

キリストは何も話さなかった。すると、とてもゆっくりと、荘厳に、その御手を動かし始めた。その手を彼らの頭に伸ばし、さらにその先の、その慎ましい家々があるその地域に、そしてさらにイエスご自身がご覧になった、その巨大で、しかし惨めなその街全体を取り囲んだ。そして彼らは声を聞いた。誰も、一生忘れられないような声のトーンでこう言うのを。「Misereor super turbas」ーー私はこれらの人々に哀れみを注ぐ!

そして、彼らがひどく驚いているその目の前で・・イエスの姿は消えていった。。

男の子が言った。「あの人は、イエス様だったんだよ!」

若い神父は、神妙に頷きながら、言った。「確かに。そのはずだね・・」

By Pierre L’Ermite
Illustrations by A.F.Phillips