続いて、私を音楽に導いた3つの出来事〜その2をお送りします。

いや〜、だいぶ前に書いた記事なんですが、自分でも読んでいて

本当に感慨深いですね。。

 

あ、ご存じない方のために、

私が若い頃、音楽事務所にだまされて、借金を作ったくだりは・・・

また別の記事でご紹介したいと思います。

(ほんとに、いろいろと失敗続きの人生だったんですよ〜、実は)

 


その2:マライヤ・キャリー

私が音楽事務所に騙されて作ってしまった借金を返済すべく、

某ホテルで皿洗いに毎日必死だった時のころです。

1992年か1993年頃だったと思います。

 

その時は毎日15時間とか16時間とかをホテルで働き、

家には寝に帰るだけ、という日々でしたが、

週に一回だけお休みがありました。

 

その、仕事が休みだった日の夜です、

食事をしながらふとテレビを付けてみましたら、

マライヤ・キャリーのカーネギーホールでのライブの映像

飛び込んできました。

 

私は彼女を見るのも、歌を聞くのも初めて。

でも、ものすごい衝撃を受けました。

白人で(実はクオーターでAfrican Americanの血が入っているようですね)、

あれだけの歌いまわしができて、しかも美人さんでスタイルも抜群、

なのにあの歌の信じられない音域とパワー・・

 

慌ててビデオに録画して、ご飯を食べるのも忘れて

釘付け状態でそのライブを最後まで見続けました。

 

日々の仕事で心身ともにボロ雑巾状態だった私にとって、

彼女の眩しいばかりの華やかなステージと迫力ある伸びやかな歌声は、

頭の先から爪先まで、体全体に染み入り渡っていくようでした。

 

それからは毎日、くりかえし、くりかえし

彼女のビデオをむさぼるように見続けました。

 

そして彼女の歌う時の姿勢、口の形、マイクの位置、

バックコーラスとのやりとりの様子、観客とのやりとり、

そしてあの、超ハイトーンの、声とも言えないような声、

(あれは後にわかったんですが、ホイッスルトーンという手法で出す声なんですね)

一体全体どうやって出すんだろう、と

何度も何度もビデオを見て研究してましたね〜。

 

そして日々の皿洗いの時間が、彼女の歌を練習する時間に変わりました。

 

あの、ホテルの裏方では一番底辺のようなボジションの皿洗いで、

ただただひたすら、言われるがままに無思考でお皿を洗って片付けていたのに、

 

彼女のように歌いたい!という情熱と希望に満ちた状態になって、

一人になれる時間を見つけては、頭のなかでマライヤの曲を

何回もリピートさせながら、口パクで毎日毎日歌ってました。

 

あのホイッスルトーンの真似をしてみたり、口の形を研究してみたり、

それは楽しい時間になっていきました。

 

もちろん、将来歌手になろう、とか、そういうものではなかったです。

ただ彼女のように歌いたい!ただそれだけでした。

 

今思うと、やっぱり・・・

真っ暗闇にいた私を引き上げてくれたのは、

「歌」だったのだな〜と、

今更ながらに感慨深いです。。

 

彼女の歌が、私をすくい上げ、皿洗いのボロ雑巾の状態から、

将来への希望を持って前を向けるようにしてくれた、

 

その原動力が借金完済への力を貸してくれた、と今は本当に感謝しています。

(その3へつづく)